日本社会情報学会第102回定例研究会企画案(情報通信月間参加行事)
企画委員会委員 河又貴洋・税所哲郎
●趣旨
情報通信技術(ICT)の高度化に伴うアプリケーションの多様化は、情報セキュリティ技術の発達に支えられ、環境としての情報空間を多層化し、地域社会における新たなコミュニティ形成の可能性を引き出して来ている。しかしながら、その一方で、情報の遍在は社会に内在するリスクをあぶり出し、実態のつかめない不安を駆り立てながら、安全(セキュリティ)・安心(セイフティ)への関心を喚起している。そして、このような実体なき不安に対し、監視の目を強化して安全を確保しようとしている。そこには、安全と自由のトレードオフ関係が存在するとともに、誰が何を監視するのかといったコントロールの構図が浮かび上がってくる。
本研究会は、情報技術の発達に伴って提起される「情報」のコントロールの問題が、社会の安全と人々の安心とにどのような影響をもたらしているのか、それへの対処はいかにあるべきか、を多角的な観点から議論する場を提供し、情報社会に内在する問題についての認識を共有することを目的として開催する。そこでは、情報社会における人権と倫理といった根源的な問題も浮き彫りにされるとともに、「安全・安心」を支える「信用・信頼」の構築といった社会構成の基本原理にも触れることになるかもしれない。
●スケジュールおよび概要
日 時: 平成18年5月20日(土)13:30-17:00
会 場: 県立長崎シーボルト大学(長崎県西彼杵郡長与町まなび野1−1−1)
http://www.sun.ac.jp/access/index.html
(長崎県立大学(長崎県佐世保市川下町123番地)―遠隔講義システムによる同時開催を検討中)
http://www.nagasakipu.ac.jp/guidance/access/index.php
主 催: 日本社会情報学会(JASI)
共 催: 日本社会情報学会(JASI)九州支部
協 賛: 情報通信月間推進協議会
定 員: 100名程度(なるべく事前申込をお願いします)
締切日: 5月15日(月)
参加費: 無料
申込・問合せ:日本社会情報学会事務局まで、氏名・所属を明記のうえ
e-mailまたはファックスでお願いします。
e-mail: jasi@jade.dti.ne.jp FAX: 0422-40-2062
テーマ 「情報通信技術が築くプライバシーとセキュリティ〜安全と管理の狭間でゆれるリスク社会を考える〜」
プログラム
13:00 会場・受付開始
13:30-14:30 基調講演1 「情報セキュリティ文化の普及と人材育成」
辻井重男(情報セキュリティ大学院大学)
デジタル化とネットワークの浸透が、社会構造や機能をどのように変えつつあるかについて考察した上で、技術、管理・経営、法制度、倫理の統合からなる情報セキュリティの全体像を示し、情報倫理を基底するその体系化を論じ、情報セキュリティ文化の普及と人材育成を如何に図るかについて述べる。
14:40-15:40 基調講演2 「情報社会の人権と倫理」
松井修視(関西大学)
情報法の観点から、u−Japan政策で打ち出されたユビキタスネット社会の「10の大分類による課題」や「優先的に解決すべき21の課題」に焦点をあて、新たな情報社会と倫理の近未来について考える。
15:40-16:00 休憩
16:00-17:00 パネル・ディスカッション
テーマ「情報経済社会における安全・安心と信用・信頼」
コーディネーター 河又貴洋(県立長崎シーボルト大学)
パネリスト 辻井重男(情報セキュリティ大学院大学)
松井修視(関西大学)
財部忠夫(中村学園大学)
他数名(未定)
17:00 閉会