第115回日本社会情報学会(JASI)定例研究会
JASI企画委員会
●テーマ「Wikipediaにみる集合知〜その可能性と批判的検討〜」
●趣旨
ブロードバンド、高度モバイル環境が進展し、動画共有、ブログ、SNSなど利用者の積極的ネット活動(CGM)、オープンAPIなどによる情報共有、情報連携の進化、ネットワーク行動集積とマイニング、クラウドコンピューティングなど、いわゆる「Web2.0」が具現化、発展しつつあります。
Wikipediaには、こうしたWeb2.0時代における社会知、集合知、マスコラボレーションという側面を認めることができます。他方、Wikipediaについては、教育現場における不適切な引用、安易な参照、意図的編集、改竄、激しい主張対立を伴う編集合戦なども問題となっています。
実際、今年は、『ウィキペディアで何が起こっているのか―変わり始めるソーシャルメディア信仰』(オウム社)、『グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?』(サンガ)、『ウィキペディア革命―そこで何が起きているのか?』(岩波書店)など、ウィキペディアを巡る書籍が相次いで刊行されました。
そこで、今回の定例研究会では、Wikipedia日本語版管理者ボランティアの経験をもつ、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員の渡辺智暁氏を迎え、「集合知」「社会知」の在り方を、論議し、理解を深め、さらなる議論発展の契機にしたいと考えます。
●概要
・日 時: 平成20年11月15日(土)13時〜15時
・会 場: 東京大学駒場キャンパス・18号館4階コラボレーションルーム4
18号館は、駒場キャンパスの北側・第一グランドの南。駒場キャンパスで最も高層の建物です。(http://www.c.u-tokyo.ac.jp/access/img/map.pdf)
・参加費: 無料(一般参加可)
・定 員: 40名(要事前申込・当日参加若干名)
*申込戴いた方へ、お断りの連絡がない場合は定員内です。
*当日参加は定員になり次第、締め切らせていただくことをご了承ください。
・申 込: 日本社会情報学会事務局まで、氏名・所属を明記のうえ
e-mailまたはファックスでお願いします。
e-mail: jasi@jade.dti.ne.jp FAX: 0422-40-2062
・発 表
渡辺智暁(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM))
「集合知と文化産業―ウィキペディアからの示唆」
本発表では、発表者のウィキペディアについての知見を元に集合知の仕組みについて具体的に考察し、アマチュアによる創作・流通活動が文化や文化産業を大きく変えることになるのかについて検討を加えたい。
木村忠正(東京大学)
「集合知、あるいは、新自由主義の文化的論理」
本発表では、ウィキペディアがその代表例の一つとされる、いわゆるWeb2.0について、その「知」のあり方について、積極的評価できる側面と、批判的に吟味すべき側面を明確にしたい。そしてさらに、日本社会におけるウィキペディア利用のあり方と、ウィキペディアに代表されるインターネットの可能性を十分に活かしていない現状を議論する。
・発表後、フロアとの論議
●発表者プロフィール
渡辺智暁: 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)研究員。専門は情報通信政策と情報社会論。ウィキペディア日本語版の管理者ボランティアの経験を持つ。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのメンバーでもあり、アマチュアやボランティアの活動の持つ可能性に注目している。
木村忠正: 東京大学大学院総合文化研究科。JASI・企画委員会副委員長。